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佐賀地方裁判所 昭和63年(わ)6号 判決 1988年1月29日

本店所在地

佐賀県佐賀市高木瀬町大字長瀬一一三六番地一七

法人名称

株式会社協和製作所

代表者住居

佐賀県佐賀市鬼丸町一七番一号

代表者氏名

藤井重孝

本籍

佐賀県杵島郡白石町大字大渡二七一番地

住居

同県佐賀市鬼丸町一七番一号

会社役員

藤井重孝

昭和二年六月一四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官山田信二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社協和製作所を罰金一億三〇〇〇万円に、被告人藤井重孝を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人藤井重孝に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社協和製作所は、佐賀県佐賀市高木瀬町大字長瀬一一三六番地一七に本店を置き、建築、構造物の設計、施工等を営業目的とする株式会社であり、被告人藤井重孝は、被告人会社の代表取締役として被告人会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人藤井において、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、被告人会社の売上の一部を除外するほか総勘定元帳の売上及び材料費等の科目の数字を不正に増減する等の操作をして利益を圧縮するなどの方法によりその所得を秘匿した上

第一  昭和五七年四月一日から同五八年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が三億三八四〇万〇五三八円で、これに対する法人税額が一億三七九三万四八〇〇円であったのに、同年五月二七日、同市堀川町一番五号の佐賀税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は一億三三一三万七三八一円で、これに対する法人税額は五一七三万八七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、右事業年度における正規の法人税額との差額八六一九万六一〇〇円を免れ

第二  同五八年四月一日から同年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が二億五七一五万八一五七円で、これに対する法人税額が一億〇五八二万八七〇〇円であったのに、同年一一月三〇日、前記佐賀税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は七六八八万七四七四円で、これに対する法人税額は三〇一一万七五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、右事業年度における正規の法人税額との差額七五七一万一二〇〇円を免れ

第三  同五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が四億八一二〇万三七五一円で、これに対する法人税額が二億〇五〇八万五〇〇〇円であったのに、同年一一月二八日、前記佐賀税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は一億七七〇七万三〇五八円で、これに対する法人税額は七三三九万八三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、右事業年度における正規の法人税額との差額一億三一六八万六七〇〇円を免れ

第四  同五九年一〇月一日から同六〇年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が五億二八八三万七〇七九円で、これに対する法人税額が二億二五一九万九五〇〇円であったのに、同年一一月二八日、前記佐賀税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は一億七五四〇万七一九一円で、これに対する法人税額は七〇五七万一四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、右事業年度における正規の法人税額との差額一億五四六二万八一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人藤井の当公判廷における供述

一  被告人藤井の検察官及び大蔵事務官(八通)に対する各供述調書

一  被告人藤井作成の各「申述書」と題する書面(八通、検二四ないし二八号、三〇ないし三二号)

一  被告人藤井作成の各「上申書」と題する書面(二通、検三三、三四号)

一  服巻尚志(二通)、田中真由美及び山下三郎の検察官に対する各供述調書

一  服巻尚志(四通)、田中真由美(三通)、淵上敏行、吉原幸男、田中一郎、岩永壽一郎、岩永憲治、岩永英毅、山下三郎、石橋重康及び藤井和子の大蔵事務官に対する各供述調書

一  服巻尚志、西田武季、尾形雄二、川久保寿代、佐々木勇、大沢久、佐藤俊一、副島益雄、千住政美及び古賀エイ子作成の各「申述書」と題する書面

一  服巻尚志作成の「検討資料について」(検三五号)及び「前受金の期末残高について」(検四二号)と各題する書面

一  生島進作成の「金銭の貸借について」と題する書面(検四四号)

一  植木原良一作成の「脱税額計算書説明資料」と題する書面(検五一号)

一  植木原良一(一三通、検五二ないし五六号、六〇、六五、六七ないし七二号)、原好信(一〇通、検五七ないし五九号、六一ないし六四号、六六、七三、八六号)、本田鶴三(検八四号)及び中原健二(検八五号)各作成の「査察官報告書」と題する書面

一  松尾昇作成の上申書(検七四号)

一  三溝康雄作成の「証明書」と題する書面(検七五号)

一  豊島嗣郎(検七六号)、前川英敏(検七七号)、竹尾彦己(検七八号)、山元洋治郎(検七九号)、飯村和雄(検八〇号)、鈴木康司(検八一号)、吉田侑一郎(検八二号)及び武藤富彦(検八三号)各作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  安野満次(七通、検八七ないし九三号)、山田修司(検九四号)、小西孝治(検九五号)、松下昌弘(検九六号)、村瀬好彦(検九七号)、村上義也(検九八号)、込山正義(検九九号)、須崎武男(検一〇〇号)、徳島正光(一〇通、検一〇一ないし一一〇号)、岸川貢(検一一一号)、田中晋(検一一二号)、役野巖(検一一三号)、中原勉(検一一四号)、山本輝夫(検一一五号)、森嘉憲(検一一六号)、米津元義(検一一七号)、杉田元和(検一一八号)、土井正治(検一一九号)及び完俊光(検一二〇号)各作成の「証明書」と題する書面

一  鶴田ひとみ(検一二一号)、釘尾三次(検一二二号)、松永良弘(検一二三号)、黒田武二(検一二四号)、永石博樹(四通、検一二五ないし一二八号)、山口万佐子(検一二九号)、平川巽(検一三〇号)、北田理博(三通、検一三一ないし一三三号)、堀多美子(検一三四号)、武富裕人(検一三五号)、蒲原美代子(検一三六号)、正宝晶樹(検一三七号)、横尾利枝子(検一三八号)、市川博美(二通、検一三九、一四〇号)、今井幸太郎(検一四一号)、堤智恵子(検一四二号)、山下栄(検一四三号)、吉田靖彦(検一四四号)、古川博(検一四五号)、三根裕子(検一四六号)、馬場藤夫(検一四七号)、山北美津子(検一四八号)及び横尾雅文(二通、検一四九、一五〇号)各作成の「預金内容照会に対する回答」と題する書面

一  長崎預金事務センター所長作成の「定額郵便貯金の預入・払戻状況の回答書」と題する書面(検一五一号)

一  早川千吉郎作成の「保険料について回答書」と題する書面(検一五二号)

一  金丸忠(検一五三号)、原好信(検一五六号)、別府正和(検一五九号)、濱本文雄(検一六二号)、荒牧幹雄(検一六五号)及び中原健二(検一六八号)各作成の「臨検てん末書」と題する書面

一  中原健二(二通、検一八五、一八六号)、西田穂積(検一八七号)、村山好宏(検一八八号)、植木原良一(検一八九号)及び原好信(検一九〇号)各作成の「検査てん末書」と題する書面

一  登記官筒井嘉文作成の登記簿謄本(検二号)

判示第一の事実について

一  植木原良一作成の「脱税額計算書」と題する書面(検四七号)

判示第二の事実について

一  植木原良一作成の「脱税額計算書」と題する書面(検四八号)

判示第三の事実について

一  植木原良一作成の「脱税額計算書」と題する書面(検四九号)

判示第四の事実について

一  植木原良一作成の「脱税額計算書」と題する書面(検五〇号)

(法令の適用)

一  判示所為 被告人藤井重孝・法人税法一五九条一項

被告人株式会社協和製作所・同法一五九条一項、二項、一六四条一項

一  併合罪 被告人両名・刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(被告人会社につき四八条二項)(被告人藤井重孝につき重い判示第四の罪の刑に加重)

一  執行猶予 刑法二五条一項(被告人藤井重孝につき)

(裁判官 早舩嘉一)

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